ピアノの長期保証・メーカー・輸入代理店・特約店制度の功罪

ピアノの長期保証・メーカー・輸入代理店・特約店制度の功罪

ピアノの長期保証・メーカー・輸入代理店・特約店制度の功罪 1
 ピアノの長期保証・メーカー・輸入代理店・特約店制度の功罪 2

最近、家電製品では通常のメーカー保証に加えて、長期保証を行うお店が増えています。

楽器業界でも、お客様に安心してご購入・お使いいただくために、

メーカー・輸入代理店・楽器店(特約店)が、状況に応じ長期保証を行って、

手厚いサポートを行う体制を整えつつあります。

しかしながら、少なくとも、楽器業界で行われている長期保証は、

全く無意味とは言えないまでも、お客様がイメージする内容とは、

大きくかけ離れているのが現状だと言わざるを得ません。

例えば、高級輸入ピアノのベーゼンドルファーというピアノがあるのですが、

従来から、正規代理店経由の正規流通品には5年長期保証がついていました。

スタインウェイなど他の輸入ピアノにも現在同様の保証が付いています。)

近年、ベーゼンドルファーの日本代理店が突然破産してしまった後の事です。

最終的に国内メーカーのヤマハが、現地のベーゼンドルファー社を買収して、

現在、ヤマハの子会社が輸入代理店として営業をしている状況なのですが、

ホールの保守業務など利益が大きく出せる部分には、メーカーはもちろん、

輸入代理店・特約店・販売店までも、積極的に営業しているにも関わらず、

演奏会の調律や定期保守点検は随意契約で年間何十〜何百万円の所もあります。)

(地方のピアノ店では経験豊富な技術者が少なく、自社技術者では心許ないので、

 定期保守点検等、遠方から応援を頼まざるを得ないというのも高額の原因です。)

一番サポートを必要とする個人ユーザーには、保証期間内であっても、

ホールに比べ不十分なサポートで終わってしまっているのが現状です。

つまり、名目的な保証期間は長く設定されているにもかかわらず、

ユーザーに対して、必要とされるサポートが不十分なので、

極論を言えば、個人ユーザーの場合に限定すれば、

販売店(特約店)・かかりつけのドクターである、

担当調律師にほとんどのサポートがゆだねられて、

メーカー・輸入代理店の長期保証は有名無実化し、

肝心の保証の中身が空虚なものとなっております。

(純正部品供給保証・調律師派遣保証と言い換えた方が良いほどです。)

なお、純正部品の価格は、国内で調達出来る代替部品より割高であるだけでなく、

海外の代理店から個別に輸入した場合と比べても、かなり割高な所もございます。

輸入代理店から派遣される調律師の料金は、基本的に割高(1.5倍〜2倍)で、

調律師の技量や経験は誰が派遣されるか分からないので、未知数という面もあり、

この2点に限定しても、必ずしもお得とは言えないです。

 

この点、近年国内メーカーのカワイがグランドピアノで採用している、

MPA制度は非常に洗練された制度で、当店は高く評価しております。

当店では、カワイグランドピアノSKシリーズの納入調律・調整の他、

個人ユーザーを含め、納入・販売のカワイグランドピアノについては、

工場で行われる入念な出荷調整を、こちらから要望をお伝えした上で、

丁寧に仕上げていただいております。

 

そもそも、正規流通商品として販売店・ユーザーに販売するピアノが、

メーカー・輸入代理店出荷段階で出荷調整不良という事自体が問題で、

スタインウェイやベーゼンドルファーなどの有名輸入ピアノと比べて、

価格では約4分の1のカワイが、より高いレベルで実践しているのは、

楽器メーカーとしての良心の様なものを感じます。

 

表題の長期保証・メーカー・輸入代理店・特約店制度の本来の趣旨は、

個人ユーザーを含めた購入者に対して行う各種サポートを、

高品質・安価・継続的に行う事だと思うのですが、

皆さんはどう思われますか?

 

ちょっとピアノ業界の身内に手厳しいコラムになってしまいましたが、

特定のメーカー・輸入代理店とだけ、懇意な楽器店(特約店)ですと、

非常に偏った意見・評価等しか、聞けない事が多いと思われましたし、

(ヤマハ特約店ではヤマハピアノ、スタインウェイ特約店でも同様。)

最近、メーカー・輸入代理店などが行っているメンテナンス内容等が、

不景気の影響もあってか、過大に宣伝されている様な気がします。

中には何百万円もする高級輸入ピアノのメンテナンスに、

経験の浅い研修生まで使ってコストダウンを図る、

お金の亡者の様な、大変残念な会社もございます。

一番被害を受けやすい個人ユーザーの皆様にも、

ピアノ業界の現状をかいつまんで紹介しました。


ちなみに、当店では上記の様なピアノメンテナンス・サポートの現状を踏まえ、

メーカー(輸入元)と販売店(特約店)がお互いに協力しながら、

実質的に意味のあるメンテナンス・サポート体制を、

お客様視点で作っていく事が必要と思っております。

少なくとも、メーカー(輸入元)はもちろん、販売店(特約店)も、

自社が関与したピアノについては、新品・中古品に関わらず、

提供するピアノの品質およびアフターサービスについて、

担当調律師・技術者に全てを任せるのではなく、

適切かつ迅速な対応が求められます。

この点、ヤマハのリニューアルピアノ(中古ピアノ)は、

ピアノに販売店の保証を付けているので良いと思います。

ただし、メーカー保証ではないので、販売店の技術力と、

販売店のネットワーク構築力を支援する仕組みがないと、

新品と同様の安心したアフターサービス体制とは言えず、

結論から言えば、中古ピアノでは販売店と調律師選びで、

メーカーはあまり役に立っていないのが実情です。

幸い当店はネット通販を他社に先駆けて行って来た先行メリットで、

全国各地の技術力のある販売店・調律師・技術者の方々と、

ネットワークを構築させていただく事が出来ました。

私の予想では、今後はメーカーサポートはもちろん、

上記の技術ネットワークがより重要になって来ます。

広い視野をお持ちの楽器関連のお仕事をされている皆さんと、

これからもお客様のサービス向上に努めていきたいと思っています。


当店では、特に以下の3項目を重視したピアノサポートを、

販売店(特約店)独自の特別サービスとして、

お客様のために行っております。

① 高品質

ピアノメンテナンス・サポートが出来るだけ長持ちする事を重要視しております。

そのため、次回のサポートに悪い影響を与える可能性がある、

大がかりな外科手術的なメンテナンス作業は出来るだけ避け、

手間暇がかかっても、下調律等の下準備を十分に行ってから、

状況に応じて、整音作業等で仕上げる形を採用しております。

最近、調律は瞬間芸術なのですぐに狂っても仕方がない等と、

言い訳がましいセールストークを使う人達もいるようですが、

(前段では高い評価の、カワイの昔の対応が正にそうでした。)

調律が不十分では、整調・整音の効果も非常に限定的になり、

音・響きも、狂い・ばらつき等が出やすくなってしまいます。

言い換えれば、大さっぱな仕上がりになってしまいますので、

当店では常にベストを尽くしております。

この他、メーカー(輸入元)で実施済の工場調整に加えて、

お客様のご用途・お好み・設置環境などに最も適した調整を、

コスト・効率だけを重視する事なく、丁寧に行っております。

特に販売店入荷後の納品前調整は省略される事も多いですが、

当店ではご注文状況に応じて、更に手を入れ納品しています。

なお、販売店(特約店)のサポート品質を確認したい場合は、

自社メンテナンスの中古ピアノをどの様に扱っているのかで、

よく分かります。

実は、新品の出荷調整より中古品をよく仕上げる事の方が、

時間がかかりますし、技術者の技量・人間性もよく見えます。

詳しい判断基準等を知りたいお客様はお問い合わせください。

また、ご希望がある場合には、事前にご予約をいただければ、

どのような調律が長持ちするのか、その秘訣をご紹介します。

(ピアノ購入・調律ご依頼者でご希望の方には、無料調律体験も行っております。)

② 安価

対価としていただく技術料を安価にしているのはもちろん、

出張費も特に緊急のお呼び出しでない場合には、無料です。

また、使用する交換部品もお客様のご予算・ご要望に応じ、

いろいろなご提案が出来る様にしております。

例えば、思い出のアンティークピアノを修理する場合には、

お客様のご要望があれば、部品交換を可能な限り少なくし、

調整の範囲内で出来る事を最大限に行うこともございます。

また、同じメーカーのピアノでも、年代・機種によっては、

新しい純正部品に取り替える事でかえってバランスを崩し、

当初の弾きやすさ・音持ちの良さがなくなる事もあります。

何が何でも新しい純正部品に乗せ換えるという修理方法は、

お客様からより多くの対価をいただけるという点で、

お店の経営的な面を考えれば良いかも知れませんが、

これまで、そのピアノが過ごして来た人生を否定し、

思い出や個性がなくなってしまう可能性もあるので、

当店では、あまりおすすめしておりません。

 

畳の事をよく知っている、こだわりの畳屋さんでは、

何が何でも、新畳をおすすめはしないのと同じです。

良心的な畳屋さんは、畳床まで交換する新畳以外に、

状況に応じて、畳表の裏返しや表替えを行うことで、

良い畳を長く使える方法を色々と提案してくれます。

裏返し、表替えを繰り返すと同時に、

縮んだ部分や凹んだ部分を補修して、

だんだん良くなっていくのが畳だからです。

ピアノメンテナンスにも、全く同じ事が言えます。

杉田楽器は、こちらのタイプのピアノ専門店です。

③ 継続性

当店が規模は小さいながらも、楽器専門店として100年以上営業出来ているのは、

先代・先々代からのごひいき客も含め、お客様をいつも大事にして来た事と、

常にチャレンジ精神を保持しながらも、決して無理な約束をしなかったので、

お客様をがっかりさせる事がほとんどなかったからだと思います。

この観点から考えると、ピアノ店の5年・10年保証はもちろん、

メーカー・輸入代理店の長期保証も、微妙な感じがしております。

これに対して、当店が目指しているサポート内容は、

思い出が一杯詰まった個性豊かなピアノになるまで、

ピアノとお客様のサポートをさせていただく事です。

 

 

以前、他の調律師の方が定期調律をしていた古いピアノを、

調律師が亡くなってしまったという事で依頼を受けました。

依頼のピアノは、しばらく放置された状態だったのですが、

調律等も丁寧にされていた様子で、作業もしやすいもので、

長期間放置されていたピアノとは思えない良い状態でした。

ピアノは、ヤマハのピアノで中古品を購入との事でしたが、

興味があったので、お客様に購入の経緯をお聞きしました。

すると、近所の調律師の方がおすすめを選んで来てくれて、

ご購入後もよく面倒を見てくれていたピアノとの事でした。

当店と同じコンセプトで活動している技術者に出会えて、

ちょっとうれしく、激励していただいた感じがしました。

その調律師の方とは、全く面識はないのですが、

何だか不思議な出会いのような感じがしました。


杉田楽器はどんな店?(実店舗の紹介・ショールームのご案内等)もご覧ください。


ピアノスタイルというピアノ雑誌でコラムを連載されている、

ピアニストの伊賀あゆみさんがご来店下さったときの様子を、

コラムの中で紹介下さったので、ご覧ください。(杉田楽器 紹介記事


杉田楽器店のお店の雰囲気を知りたい方は、

お客様リンク集がございますので、アクセスしてみて下さい。

(杉田楽器店訪問記などもあります。)


住所   :〒355−0017

      埼玉県東松山市松葉町2−17−46 杉田楽器店

(ショールームへのお越しの際は、事前にご希望日時・人数・ご検討楽器をご連絡の上、お出かけください。)

電話番号 :0493−22−0107

ファックス:0493−23−1813

お問い合わせ・ご質問フォームはこちら


 

楽器販売 杉田楽器店

この Web サイトに関する質問やコメントについては、shop@sugita.co.jp まで電子メールをお送りください。
Copyright © 1998-2009 有限会社杉田楽器店

inserted by FC2 system